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ラジエーターとは?仕組みや故障、メンテナンス方法について解説

ラジエーターとは?仕組みや故障、メンテナンス方法について解説

エンジンのオーバーヒートを防ぐための重要なパーツが「ラジエーター」です。ラジエーターが故障しているかどうかをいち早く察知できたら、エンジンを焼き付けてしまったり、エンジンが壊れてしまったりといった大きなトラブルを防ぐことができます。

この記事では、ラジエーターとエンジンの冷却装置の基本的な解説から、ラジエーターを構成するパーツ、冷却装置の個々のパーツの役割、ラジエーターの故障を知らせる警告やDIYで可能なチェックとメンテナンス方法、必要な工具について解説しています。

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ラジエーターとは?

 

ラジエーター

 

「ラジエーター」とは、“ラジエター”“ラジエータ”とも呼ばれ、冷却ファンやリザーバータンクと連動した、車のエンジン冷却装置の一部です。

車のエンジンから熱をうばって高温になった「冷却液」を適切な温度に冷やすための放熱装置で、ラジエーターを含んだ冷却装置の故障は、エンジンの温度上昇を抑えることができなくなって起こる“オーバーヒート”につながります。

ここでは、エンジンの高温化によるトラブルを防ぐための重要なパーツ・ラジエーターについて、冷却装置全体の仕組みも含めて解説します。

1.ラジエーターの役割

ラジエーターの役割 高温化した冷却液を適正温度に冷やすパーツ

「ラジエーター」は、車のエンジンを冷却する仕組みの中で、冷却液を適正な温度に戻す・冷やす役割を果たします。

車のエンジンを冷やして戻ってきた冷却液は、高温状態になっていますので、冷やさなくてはいけません。

そのため高温になった冷却液をラジエーターの「コア」と呼ばれる、パイプを蛇行させた構造のパーツに送り込みます。

このコアが車の走行中に起こる風(自然通風)を受けて、コアの中を通る冷却液を適正温度に冷やします。

2.ラジエーターの種類

■ラジエーターの種類
冷却液の流れ ラジエーターの種類
上から下 縦流れ式ラジエーター
横流れ式ラジエーター

ラジエーターには大きく2つの種類があります。違いは、冷却液を流す方向です。

冷却液を上から下に流す「縦流れ式ラジエーター(ダウンフロー)」と冷却液を横に流す「横流れ式ラジエーター(クロスフロー)」があります。

縦流れ式ラジエーターは、高温になった冷却液を重力によって上から下に流す構造です。

横流れ式ラジエーターは、横から水平に高温化した冷却液を流します。

ラジエーターのコアとリザーバータンクが2つあり、縦流れ式ラジエーターよりも効率よく冷却液を冷やすことができるのが特徴です。

3.ラジエーターの仕組み

 

ラジエーターの仕組み

 

ラジエーターが冷却液を冷やす役割を果たすことはご説明しました。ここでは、ラジエーターの仕組みを縦流れ式ラジエーターで、ご説明します。

エンジンの熱をうばって高温化した冷却液は、ホースを通ってラジエーターの上部にある「アッパータンク」に溜められます。

アッパータンクから高温化した冷却液が「コア」に送られ、上から下に流れていく間に、自然通風で冷やされるのが冷却の仕組みです。

適正温度になった冷却液は、ラジエーター下部にある「ロアータンク」に溜められ、エンジンに送られます。

4.ラジエーターの構造と冷却装置

 

ラジエーターの構造と冷却装置

 

ラジエーターには、高温化した冷却液を効率よく冷やすための工夫が施されています。

エンジンの冷却装置は、ラジエーター自体が高温化するのを防ぐパーツ、ラジエーター内の圧力が高くなったときに冷却液の量を調整するためのパーツで構成されています。

ここでは、ラジエーターのトラブルを防止するための、メンテナンスに必要な、ラジエーターを構成するパーツと冷却装置について、それぞれご説明します。

アッパータンク

アッパータンク 高温化した冷却液を一旦溜めるタンク

「アッパータンク」は、エンジンから送られてくる冷却液を溜める役割を果たすタンクで、ラジエーターの上部にあります。

エンジン側にある冷却液の出口“ウォーターアウトレット”から伸びる “アッパーラジエーターホース”がつながっていて、熱くなった冷却液の入り口になるタンクです。

コア

コア 冷却液が流れるチューブと通風が当たる表面積を広く
するためのパーツ・フィンで構成される

高温になった冷却液を冷やすのが「コア」です。

コアは冷却液が流れる“チューブ”と走行中の通風で効率よく冷却液が冷えるようにするためのパーツ“フィン”で構成されています。

ラジエーターの仕組みフィン

フィンは、風が当たる表面積を広くする役割を果たし、主に2種類あります。

チューブとチューブの間に付けられている波状のフィンが“コルゲートフィン”です。

“プレートフィン”は、チューブ全部をつなぐ板が配置されています。

ロアータンク

ロアータンク コアで冷やされた冷却液を溜めるタンク

「ロアータンク」は、コアで冷やされた冷却液が溜められる、ラジエーターの下部にあるタンクです。

ロアータンクは“ロアーラジエーターホース”でエンジンの冷却液の入り口“ウォーターインレット”につなげられています。

ラジエーターキャップ

ラジエーターキャップ ラジエーター内を密閉して加圧し一定以上圧力が上がると余分な冷却液をリザーバータンクに送り出す

「ラジエーターキャップ」は単純な蓋ではなく、ラジエーター内を密閉して圧力をかけ、冷却液の沸点を高くし、冷却液が100℃を超えても沸騰するのを防ぐ役割を果たしています。

そのため“密閉弁”と“加圧弁”“負圧弁”の3つの弁を備えているのが特徴です。

圧力が高くなり過ぎた場合は、余分な高温の冷却液を“リザーバータンク”に戻し、冷却液の温度が下がるとリザーバータンクからコアに送り込む働きをします。

リザーバータンク

リザーバータンク 高温化した余分な冷却液を溜めるタンク

「リザーバータンク」は、ラジエーターキャップの圧力調整によって、高温化した余分な冷却液を溜めるためのタンクです。“オーバーフローホース”と呼ばれるホースでラジエーターとつながっています。

冷却ファン

冷却ファン 自然通風が起こらない車の停車中でも
強制的に通風を起こすための装置

冷却液を冷やす役割を果たすラジエーターですが、車が走行していないときは、自然通風が起こらず冷却液を冷やすことができません。

そのため車が停止しているときでも強制的に通風を起こすためのパーツ「冷却ファン(クーリングファン)」が、ラジエーターの後部に取り付けられています。

ホース

ホース 冷却液の通り道

冷却液が流れる通路になるのが「ホース(チューブ)」です。

エンジンとラジエーター、リザーバータンクとラジエーターをつなぐホースと、ラジエーターのコア内部を通るホースがあります。

ラジエーターが故障?よくあるトラブルの原因

ラジエーターが故障すると、エンジンを冷やすことができなくなり“オーバーヒート”の状態になってしまいます。

オーバーヒートが起こると、エンジンが焼き付く、エンジンが壊れてしまうといった大きなトラブルにつながりますので、ラジエーターの故障には充分注意が必要です。

ここではラジエーターの故障を知らせてくれる警告と故障の原因について解説します。

ラジエーター故障を知らせる3つの警告!

ラジエーターの故障を知らせる警告には、冷却液の漏れや温度を知らせる3つの警告があります。これらの警告を察知したら、直ぐに車を止めてエンジンの温度を下げてください。

具体的にラジエーター故障を知らせる3つの警告をご説明します。

1.エンジンルームからの甘い匂い

【ラジエーターの故障を知らせる警告1】
エンジンルームからの甘い匂い 冷却液からの漏れ

ラジエーターの故障を知らせる警告の1つが「エンジンルームからの甘い匂い」です。

これは蒸発した冷却液特有の匂いで、高温になった冷却液が沸騰し、漏れているときに出てきます。

車が一時停止しているアイドリング状態や、ゆっくり低速で走っているときに気づくことが多い警告です。

2.水温警告灯が点灯

【ラジエーターの故障を知らせる警告2】
水温警告灯が赤く点灯 冷却液の温度が高すぎる

車種によっては、冷却液の温度が低すぎることを知らせる低温警告灯(青く点灯する)も備わっている場合もありますので、車のマニュアルで確認しておきましょう。

3.水温計がHを指す

【ラジエーターの故障を知らせる警告3】
水温計がHを指す 冷却液の温度が120℃~130℃の状態

水温警告灯と一体になっている場合が多く、簡易的なものは“CとH”の表示だけがあります。

水温計が“H”を指しているときは、冷却液の温度が120℃~130℃になっている危険な状態です。

ラジエーター故障の5つの原因

ここではラジエーター故障の5つの原因を解説します。

ラジエーター故障の原因は多くの場合、パーツの劣化による冷却液漏れです。そのため、ラジエーターを構成するタンクやホースが劣化する原因を含めて解説します。

1.冷却液の劣化

【ラジエーター故障の原因1】
冷却液の劣化 ラジエーターのタンクが劣化し
冷却液漏れの原因

ラジエーター故障の原因の1つに「冷却液交換不足」があります。通常、車検のとき(2年ごと)に冷却液を交換しますが、これを怠っているとラジエーターのタンクを劣化させ、冷却液漏れの原因になります。

2.冷却液不足

【ラジエーター故障の原因2】
冷却液不足 タンク内の冷却液が蒸発して不足し、
オーバーヒートが発生

冷却液は蒸発して減るものです。量不足によりオーバーヒートが起こるとこれもラジエーターの故障の原因になります。
オーバーヒート防止のために冷却液の補充が必要になります。

3.ラジエーターキャップの劣化

【ラジエーター故障の原因3】
ラジエーターキャップの劣化 ラジエーター内を密閉できなくなり
圧力調整ができなくなる

「ラジエーターキャップの劣化」は、ラジエーター内を密閉することができなくなり、冷却液漏れにつながる原因です。また圧力調整もできなくなるため、リザーバータンクへ余分な冷却液を送る機能やラジエーターに冷却液を戻す機能に不具合がでる場合もあるため、大きな故障につながります。

主にラジエーター内を密閉するゴムパッキン部分と圧力調整をするバネが劣化しますので、車検や定期点検時に確認しましょう。

4.ラジエーターホースの劣化

【ラジエーター故障の原因4】
ラジエーターホースの劣化 経年劣化でホースに亀裂が入り
冷却液漏れの原因に

「ラジエーターホースの劣化」の主な症状は、ホースに亀裂が入り冷却液が漏れ始めことが挙げられます。

高温にも低温にも強い樹脂でつくられたホースですが、経年劣化しますので、走行距離10万kmを目安に劣化の状態に応じて交換しましょう。

5.タンクの損傷

【ラジエーター故障の原因5】
タンクの損傷 冷却液漏れの原因になり
特にアッパータンクの劣化に注意

「タンクの損傷」は冷却液漏れの原因になり、損傷する理由としては高温の冷却液を溜めるアッパータンクの樹脂の経年劣化などがあります。

事故などの場合はアッパータンクとロアータンク両方の損傷も考えられるため、点検・修理が必要になります。

ラジエーターのメンテナンス方法

ラジエーター故障の原因になる冷却液漏れやラジエーターキャップの不具合は、車検や定期点検でチェックします。

愛車の走行距離が10万kmを超えている場合や、夏場など気温が高い時期に長距離走行をするカーユーザーの方は、DIYでチェック、メンテナンスできたら安心ですね。ここでは一般のカーユーザーにもできるラジエーターのチェックやメンテナンス方法を解説します。

1.冷却液の残量チェック

1.冷却液の残量チェック LOWやMINの目盛り下かギリギリなら
同じ色の希釈済み冷却液を補充

「冷却液の残量チェック」は、リザーバータンクの側面についている目盛りを確認し、“LOW”や“MIN”より少なくなっている、またはギリギリの場合に補充するメンテナンス作業です。

冷却液は“クーラント”とも呼ばれ、赤、緑、青、ピンクの4種類があります。

赤と緑は正式名称“ロングライフクーラント(LLC) ”と呼ばれる冷却液で、耐用年数は2~3年です。

青とピンクは“スーパーLLC”と呼ばれる冷却液で、耐用年数は7~10年になります。

それぞれ赤と緑、青とピンクと色は異なりますが、性能は同じです。

冷却液に色が付けられている理由は、漏れのチェックなど点検がしやすくなるように着色されています。

冷却液を補充する場合は入っている冷却液と同じ色のもので、単純に補充するだけで済む“希釈済”のものを補充してください。

希釈不要で凍結温度-30℃の冷却液をおすすめします。

2.ホースとラジエーターのコアを目視チェック

2.ホースとラジエーターコアを
目視チェック
ホースのひび割れとコアのフィン破損
などをチェック

「ホースとラジエーターのコアを目視チェック」する場合、チェックするホースは下記の3種類あります。

【チェックする3種類のホース】

1.アッパータンクとエンジンをつなぐ“アッパーラジエーターホース”

2.ラジエーターとリザーバータンクをつなぐ“オーバーフローホース”

3.ロアータンクとエンジンをつなぐ“ロアーラジエーターホース”

上部についているアッパーラジエーターホースとオーバーフローホースは目視しやすいのですが、ロアーラジエーターホースは下部に付いているため目視しづらいのが難点です。

ホースの目視チェックは、ひび割れがないか・弾力性があるかを確認します。

ラジエーターのコアは、フィンの破損などを目視チェックするのが一般的な方法です。

ラジエーターの取り外しが簡単ではないので、一般ユーザーには難しいチェックになります。

3.冷却ファンの動作確認

3.冷却ファンの動作確認 走行後に冷却ファン、センサーの動作
ベルトのひび割れや張りをチェック

「冷却ファンの動作確認」は、車を走らせエンジンが暖まった状態で停車し、アイドリング状態でファンが正常に動いているかを確認します。

電動ファンの場合、エンジンを切り冷却液が冷え始めるとセンサーが冷却液の温度を察知して電動ファンを停止させます。このようにセンサーが正常に動作しているかも確認しましょう。

ベルト駆動式の冷却ファンの場合は、エンジンを切ってファンが停止してから、充分エンジンが冷めた状態でファンベルトの張りやひび割れをチェックしてください。

4.ラジエーターキャップの加圧バルブと冷却液の漏れをチェック

4.ラジエーターキャップの加圧バルブと
冷却液の漏れをチェック
専用工具を使ってチェック

「ラジエーターキャップの加圧バルブと冷却水の漏れをチェック」するときは、専用工具・テスターを使います。

注意が必要なのは、必ずエンジンが十分に冷えている状態で行うことと、専用工具のアダプターが、愛車のラジエーターキャップと適したものかを確認することです。

ラジエーターキャップのチェック

「ラジエーターキャップのチェック」は、加圧弁が動作するかをテスターで確認します。

テスターには、ラジエーターキャップとラジエーターアダプターをつなぐ“キャップコネクター”が付属していますので、ラジエーターキャップ、キャップコネクター、ラジエーターアダプターの3つを接続してから、ポンプにつなげてください。

ポンプをつないだらポンピングして、加圧します。ポンプの加圧が“開弁圧”に達したとき、ラジエーターキャップの加圧バルブが開けば正常です。

冷却液の漏れをチェック

「冷却液の漏れをチェック」するには、ラジエーターキャップを外し、テスターに付属されているラジエーターアダプターをラジエーターキャップの代わりに取り付けます。

ラジエーターアダプターを取り付けたらポンプをつなぎ、ゲージを見ながらポンピングして加圧しましょう。

ホースやタンクから冷却液が漏れ出さなければ、ひび割れなどの問題はありません。

AP ラジエターリークテスター

AP ラジエターリークテスター
AP ラジエターリークテスター
“AP ラジエターリークテスター”は、ラジエーターの冷却液漏れとラジエーターキャップの加圧弁の開閉を確認できるテスターです。必要なアダプターとコネクターがセットになっています。
 

ラジエーターをDIYでメンテしよう!

ラジエーターの役割と構成するパーツそれぞれの解説、ラジエーターをはじめとしたエンジンの冷却装置について解説しました。

また、ラジエーター故障を知らせる警告と、DIYでラジエーターのチェックとメンテナンスするときのポイント、具体的な方法、専用工具まで、ご説明しました。

DIYでラジエーターをメンテナンスする方法は、手順を正確に行えば、意外に簡単な作業です。

ぜひ専用工具を揃えて、ラジエーターのDIYメンテナンスに挑戦してください。

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